2009年6月6日土曜日

ゴルの虜囚 58 【CAPTIVE OF GOR】

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<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン


6. 奴隷商ターゴとの邂逅(8)

 イラッとして女たちを見て、呆然とさせられました。信じられないほどの美女たちです。わたしは数万人に一人の、幻想的なまでに美しい女性だと自分で思っています。モデルでさえあったのです。でもここには驚いたことに、しかもものすごく頭に来ることに、少なくとも11人は疑いなく、明らかにわたしより美しいのです。わたしとしては、地球で、自分より美しさが優れていると認める人に会ったことがありません。ここには、理解できないけど、明らかに少なくとも11人います。こんなところにこんなにたくさんいるのは、どうしたら有り得るのかと困惑しました。感情をかき乱されました。でもわたしのほうが知性的で、お金持ちで、趣味が良くて、洗練されているんだと自分に言い聞かせました。この女たちは単なる野蛮人よ。この女たちに憐れみを覚えました。気に入らない!ムカつくのよ!わたしが地球で他の女をみなすように、この女たちには、わたしが脅威じゃないんだわ。浮浪者の女とか、取るに足りぬ女だと思って、注意を払わないし、単に美しさの劣る者として、ライバルだと深刻に考えないんだわ。わたしが入った部屋に、最高の美女が居たことなんて覚えがありません。男たちの賞賛や息づかいと喜び、他の女たちの苛立ちを、わたしはどんなに楽しんでいたか。この女たちは、わたしが他の女たちにそうしたような目で見ているのです。物珍しそうにわたしを見ています。でももっと重要なのは、超ムカつくことに、わたしにはわかったのです。女が初対面のときに常にやる、自然に無意識のうちに瞬時に値踏みして、わたしより自分たちのほうがきれいだって、少なくとも彼女たちは満足したってことが!エリノア・ブリントンよりも!この女たちに入るのに自分を推薦するなら、美しさ以外に資質がなくてはいけないとわかりました。まるでわたしは並みの娘で、他の素質を養わなきゃいけなくて、愛想を振りまいて、美しさより他のことで努力しなきゃいけないように。思い上がったメス犬たちだわ!わたしは誰よりも優れてるの!わたしのほうが美人よ!わたしはお金持ちよ。ムカつく!ムカつくのよ!


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訳者の言い訳と解説

 ターゴキャンプの奴隷娘のみなさんは別に何も言ってないのに、
エリノアさんの被害妄想がすごいことになってますね。
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2009年6月5日金曜日

ゴルの虜囚 登場人物 【CAPTIVE OF GOR】

エリノア・ブリントン
 地球の裕福で傲慢で美しい娘。職業モデル。
惑星ゴルに奴隷として拉致される。
ゴルの虜囚の主人公。

タール・キャボット(ボスク)
 反地球シリーズの主人公だが、今回のお話には最後にちょっとしか出てこない。
現在はカル港の商人のボスクを名乗っていて、
タール・キャボットの名は捨てている。

ターゴ
 惑星ゴルの奴隷商人。

ユート
 女奴隷。元革職人階級。

インジ
 女奴隷。元書記階級。

ラナ
 女奴隷。ターゴキャンプの奴隷のリーダー格。
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ゴルの虜囚 57 【CAPTIVE OF GOR】

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<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン


6. 奴隷商ターゴとの邂逅(7)

 この男たちは見たところとても素朴です。わたしをさらってきた、洗練された装備を持つ人たちと同じグループのはずがないことに、不安が和らぎました。でも同様に不安でもありました。宇宙の間を飛ぶのに必要な技術力なんて、明らかに持っている人たちではありません。この人たちは、本当に、自力でわたしを地球に帰せるはずがありません。
 それでも偶然に出会ったのだし、最善を尽くすべきでしょう。
 わたしは助かった、大事なのはそのことです。この世界には間違いなく、宇宙飛行の能力を持つ人たちが居るはずです。調べてコンタクトを取ろう。わたしはお金持ちだから、地球に戻る輸送費は十分払えるわ。大事なのは、わたしの身は安全だと言うこと。助かってってこと。
 荷車を見ました。
 どちらかと言うと大きいほうです。何箇所に傷跡がありました。まるで、鋭いものがぶつかったようでした。木の部分は裂けていました。荷を引かせる動物はどこに居るんだろう。牛だろうけど、重い荷車を引くんだわ。荷車の台のもっと前を見ると、他にも特定の場所にぶつかったり裂けたりしたところがありました。別のところは、煙ですすけたようになっていました。更に近くで見ると、荷車の赤い塗装が、ずいぶんひび割れて気泡の膨らみがあるのが見えました。この荷車が燃えたか、火を潜り抜けたのは合理的に考えて明白です。前述のように、荷車を青と黄色の絹が覆っていて、破けていました。それに、今気付いたけれど、端が焼けていて他のところは煙と雨でしみが付いていました。だからターゴが憔悴して懸念しているように思ったのです。耳飾り、サンダル、ローブ、指輪から察するに、見た目に見栄をはるような人間なのに、見かけに行き届いていないのです。歩きそうにもないのにサンダルは、真珠の付いた紐のから真珠がいくつかなくなり、ほこりで汚れていました。わたしが近づいて行ったとき、一人じゃないんじゃないかと恐れるかのように、男たちがどんなに心配そうにしたり、丘や周りの草原を調べたりしたかも思い起こしていました。
 ターゴは走っていました。
 この人たちは攻撃されたんだわ。
 荷車には物が、衣装入れや箱があります。
 荷車の前あたりにいて、引き具を付けられた女たちを見ました。
 19人いて、10人は荷車の轅(ながえ)の片側に、反対側に9人いました。
 女たちは裸でした。


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訳者の言い訳と解説

轅(ながえ)っていうのは、
〔長柄(ながえ)の意〕馬車・牛車(ぎつしや)などの前に長く出した二本の棒。その前端に軛(くびき)をわたして牛馬にひかせる。
goo辞書より

参考:牛車の各部の名称
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