2009年6月5日金曜日

ゴルの虜囚 57 【CAPTIVE OF GOR】

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<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン


6. 奴隷商ターゴとの邂逅(7)

 この男たちは見たところとても素朴です。わたしをさらってきた、洗練された装備を持つ人たちと同じグループのはずがないことに、不安が和らぎました。でも同様に不安でもありました。宇宙の間を飛ぶのに必要な技術力なんて、明らかに持っている人たちではありません。この人たちは、本当に、自力でわたしを地球に帰せるはずがありません。
 それでも偶然に出会ったのだし、最善を尽くすべきでしょう。
 わたしは助かった、大事なのはそのことです。この世界には間違いなく、宇宙飛行の能力を持つ人たちが居るはずです。調べてコンタクトを取ろう。わたしはお金持ちだから、地球に戻る輸送費は十分払えるわ。大事なのは、わたしの身は安全だと言うこと。助かってってこと。
 荷車を見ました。
 どちらかと言うと大きいほうです。何箇所に傷跡がありました。まるで、鋭いものがぶつかったようでした。木の部分は裂けていました。荷を引かせる動物はどこに居るんだろう。牛だろうけど、重い荷車を引くんだわ。荷車の台のもっと前を見ると、他にも特定の場所にぶつかったり裂けたりしたところがありました。別のところは、煙ですすけたようになっていました。更に近くで見ると、荷車の赤い塗装が、ずいぶんひび割れて気泡の膨らみがあるのが見えました。この荷車が燃えたか、火を潜り抜けたのは合理的に考えて明白です。前述のように、荷車を青と黄色の絹が覆っていて、破けていました。それに、今気付いたけれど、端が焼けていて他のところは煙と雨でしみが付いていました。だからターゴが憔悴して懸念しているように思ったのです。耳飾り、サンダル、ローブ、指輪から察するに、見た目に見栄をはるような人間なのに、見かけに行き届いていないのです。歩きそうにもないのにサンダルは、真珠の付いた紐のから真珠がいくつかなくなり、ほこりで汚れていました。わたしが近づいて行ったとき、一人じゃないんじゃないかと恐れるかのように、男たちがどんなに心配そうにしたり、丘や周りの草原を調べたりしたかも思い起こしていました。
 ターゴは走っていました。
 この人たちは攻撃されたんだわ。
 荷車には物が、衣装入れや箱があります。
 荷車の前あたりにいて、引き具を付けられた女たちを見ました。
 19人いて、10人は荷車の轅(ながえ)の片側に、反対側に9人いました。
 女たちは裸でした。


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訳者の言い訳と解説

轅(ながえ)っていうのは、
〔長柄(ながえ)の意〕馬車・牛車(ぎつしや)などの前に長く出した二本の棒。その前端に軛(くびき)をわたして牛馬にひかせる。
goo辞書より

参考:牛車の各部の名称

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