ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
7. 他者と供に、北へ連れて行かれる(6)
ターゴはコ=ロ=バから40人の娘、5台の荷車、10頭のボスクと多くの品々を持って旅立ちました。
そのとき部下の男は20人以上に達していました。コ=ロ=バから二日、
ローラに向かう北の原野を渡っていると、ゴルで畏怖されている戦士の一人である恐ろしいトレヴェのラスクの配下にある、100人を超える無法者のタルン戦士が飛び、空が暗くなりました。
幸運なことにターゴはタルン戦士に襲撃される前に、 広大なカ=ラ=ナの茂みの端へキャラバンを導くことができました。
わたしは草原を一人でさまよっていたとき、そのような茂みをいくつか見たことがありす。
ターゴは巧妙に部下を分割しました。
出来るだけ金や物を押さえるように配置される者。
娘を放して茂みの中に追い立てるように指示される者。
荷車を引いていた大きいボスクの綱を切り、同じく木々の中に追い立てるよう命令される者。
そしてタルン戦士が襲撃する一歩手前に、ターゴと部下の男たちは娘とボスクを茂みの中に逃がしました。タルン戦士が降り立ち荷車をあさり、火を放ちました。藪の中で激しい戦いがありました。ターゴは11人ほどの部下を失わなければならず、娘の20人がタルン戦死に連れ去られましたが、すぐにタルン戦士は撤退しました。風の兄弟と呼ばれる偉大なタルンに載るタルン戦士は、広い空の主で雲と空が戦場の荒々しい戦士です。森の人々ではありません。ですから木々の暗がりや林冠から、不意に突然見えざる襲撃者の大弓にあうかもしれない場所で、忍び寄り狩りをするのは好まないのです。
ラスクはすぐに家臣を退却させました。捕獲した娘たちを鞍にくくりつけ、ターゴのたくさんのその他の物を袋に詰め、彼らは逃走しました。
その後ターゴは部下たちと一緒に、残った商品や娘などを集めました。娘の19人は、別々に茂みの奥深くに連れられ、小さい木の周りで体の前か後ろで手首を縛られていました。ターゴが何とか保つことができたものがありました。ラナ、ユート、インジもそうです。ターゴには不運なことに、ボスクは綱が外れるか切れるかして逃げ、草深い草原に姿を消していました。茂みから出たときには、使える荷車は1台だけで、煙と火で損傷していました。多くを失いましたが、いくらか損失を免れました。一番大事な金も。その夜は茂みの中で野営しました。朝になり、応急装備の引き具に、娘たちは顔を見合わせました。今はもうだらだらと、足首を鎖に繋がれて荷車に乗っています。そしてターゴはまたローラに向かい出発しました。2、3日ほど後、旅の途中に草原で、奇妙な服をまとった若い野蛮人の娘に遭遇し、奴隷にしました。