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<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
6. 奴隷商ターゴとの邂逅(10)
ターゴは部下に何か言いました。
すぐさまターゴの前で、わたしは服を剥ぎ取られました。
叫び声を上げると、荷車の轅(ながえ)のところに居る女たちが笑いました。
「カジュラだ!」
男の一人が声を上げ、わたしの太ももを指差しました。
体中が紅潮しました。
「カジュラだ!」
ターゴが笑っています。
「カジュラだ!」
他の人たちも笑っています。轅にいる女たちの笑い声と、手を叩く音が聞こえました。
ターゴの目から小さな涙が、太った顔に滑り落ちました。
それから、突然怒ったようでした。
つっけんどんに、ものを言いました。
わたしは草の上に、腹ばいに顔を突っ伏されました。二人の男たちはわたしの手首を掴んだまま、今度は別々になってわたしの頭を草の上に押し付けました。更に二人の男が来て足首を離して掴み、草の上に押さえつけました。
「ラナ!」ターゴが叫びました。
男の一人が荷車の轅に行きました。そこで何をしたのかは見えませんでしたが、女の笑い声が聞こえました。女はすぐに荷車から離れ、わたしの後ろあたりに立ちました。
わたしはちやほやと甘やかされてきた子でした。女の家庭教師と乳母にしばしば小言を言われて育てられたけれど、ぶたれたことはありません。やってたら即刻免職です。生まれてこの方、ぶたれた覚えはありません。
でもわたし、エリノア・ブリントンは、鞭を打たれたのです。
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訳者の言い訳と解説
エリノアではなくエレノアのほうが良いのではというご意見をいただきました。
実際あいまいな音なので、カタカナ表記をどうするか悩むところです。
もうすぐ名前をゴルなまりで呼ばれるようになるので、
今回はエリノアのままにしましたが、どっちにするか検討します。
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