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<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
ターゴがわたしたちの横にきたので、ワゴンに乗るんだろうと思ったら、そうではありませんでした。ターゴは荷車を出来るだけ軽くしたいらしく、それはリーダーだとしても歩かなければいけないということです。
いつ「ハル=タ!」とターゴが声を上げ、またぶたれるかと気が気ではありません。
鞭の支配下で、バンドをかけられて、すすり泣きました。
でもわたしは地球の、パーク・アヴェニューのエリノア・ブリントンよ!わたしはお金持ちで、美人で、こぎれいな装いをして、趣味がよくて、洗練されてきたのよ。十分な教育を受けて見識も広いわ。決断力があって、自信に満ちていたわ。富も美しさも欲しいままに躍進してきて、社会で相応の地位にいたわ。才能が与えられたことも、すばらしい能力も、超一流に聡明な個性も当然わたしのものよ。要するに優れた人間なのよ!すべてわたしにふさわしいものを持ってたのよ、そういう人間なんだから!わたしはそういう人種なのよ!
それなのに、どうして遠い世界にいるのでしょう。一人ぼっちで友達もいない、わたしの言葉も話せない野蛮人の中に、埃にむせ汗にまみれ、服も着ないで引き具をかけられ、鞭打ちの元に。
ユートをちらりと見ました。
彼女はこちらを不愉快そうに見ました。わたしが怠けたことを忘れていません。そっぽを向いてムカついていました。
腹が立ちました。かまわないわ。あの女が何よ、バカ!
「ハル=タ!」ターゴが声を上げました。
「ハル=タ!」周りの男たちが声を上げました。
わたしたちはまた、鞭の刺激に悲鳴を上げました。革のバンドに全体重をかけて、足を草に突っ込みました。
わたしはうめきました。
怠けることは許されません。
女にも男にも、これまではいつも思い通りにやってきました。
期末に提出するレポートの期限も延長できたし、望んだときに新しい毛皮の襟巻きも手に入れられました。一台の車に飽きたら別のにするし、欲しい物のためにおねだりしたり、甘言で巻き上げたり、悲しそうな顔をしたり、ふくれたりできました。望むものはいつも手に入れてきたのです。
ここでは思い通りになりません。
ここでは怠けることは許されません。鞭が目を光らせているのです。もし甘言でだませたり思い通りにする人がいるとしたら、わたしより美人で、愛想の良い人のはずです。頭にくることに、生まれて初めて、わたしに割り当てられた仕事を求められていることが理解できました。
また鞭打たれてうめきました。
すすり泣き、心の中で叫び声を上げ、あらん限りの力で幅の広いバンドに体重をかけました。
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訳者の言い訳と解説
第6章終了です。
実は訳し方がわからなくて、飛ばした文章があります。
わかったらさりげなく修正します。
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