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<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
3. 絹の紐(1)
身じろぎできず、頭を揺さぶりました。これは悪い夢だわ。
「イヤ、イヤよ」
そうつぶやいて身をよじり、目が覚めれば良いと思いました。
「イヤ、イヤよ」
なんだか思うように動けないみたい。こんなの気に入らない。不愉快だわ。頭にくる。
すると突然目が覚めたので、叫び声を上げましたが声になりませんでした。
真っ直ぐに座ろうとしたけれど、危うく窒息しそうになり後ろに倒れてしまい、激しくもがきました。
「女が目を覚ました」
声がしました。マスクをした二人の男がベッドの裾に立ってこちらを見ていて、あと二人がリヴィングで話をしているのが聞こえました。
ベッドの裾に立っている二人は振り返って部屋を出て、リヴィングにいるほかの人たちのところへ行きました。
わたしは猛烈にもがきました。
両足首を一緒に軽い絹の紐で縛られ、両手首も同じように後ろ手に縛られていました。首も絹の紐を輪にしてしっかり結び付けられ、ベッドのヘッドボードに縛ってありました。
鏡に映る自分の姿が見えました。口紅で描かれた奇妙なしるしは、鏡の表面にそのままです。
もう一度悲鳴を上げようとしたけれど、声が出ません。鏡に映るわたしの目は、さるぐつわの上で半狂乱になっていました。
もがき続けているとすぐに、男たちが戻ってくる音がしたので、動きを止めました。開いたドアから、警察の制服を着た二人の男の背中が見えましたが、顔は見えません。マスクをした二人の男が部屋に戻ってきて、わたしを監視しました。
許しを請いたかったけれど、声を上げられませんでした。
足を体に引き寄せて体を横にし、できるだけ自分をかばいました。
片方の男がわたしに手を触れると、もう一人が険しい声を短く発したので、手を触れたほうの男は背を向けました。間違いなく否定する単語のようでしたが、知らない言葉でした。
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