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<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン
4. 奴隷のカプセル(9)
「急げ!急ぐんだ!」黒いチュニックの男が叫びました。
「ランデヴーしなくてはなりませんな!どうぞこちらへ」
背の高い男が、船のほうへ招く身振りをしました。
鈍くわたしは船のほうに体の向きを変え、背の高い男の先に立ちました。
「急ぐんだ、カジュラ」
男は穏やかに言いました。
タラップを上り、振り向くと彼は後ろの草の上に立っていました。
「お前の時間では、今日は経緯線の6時16分に夜明けが起こる」
太陽のふちがわたしの世界の端に昇り、色付いてゆきました。東には夜明けがありました。これが初めて見た夜明けです。一晩中徹夜したことはそう何回もありませんでした。朝日が昇るのを見たことはありません。
「さらばだ、カジュラ」
わたしは叫び声を上げて腕をいっぱいに伸ばしました。鉄のタラップが跳ね上がり定位置に固定され、わたしを船の中に閉じ込めました。紋章の入ったドアもタラップの向こうでスライドし、定位置に固定されました。わたしはその金属の板を、泣きじゃくりながら乱暴にどんどん叩きました。
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