2009年5月17日日曜日

ゴルの虜囚 14 【CAPTIVE OF GOR】

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<反地球シリーズ>
ゴルの虜囚
ジョン・ノーマン

3. 絹の紐(5)

 背の高いほうの男の声がドアの向こうから聞こえましたが、とても、遠くからに感じました。
小さいほうの男がわたしのそばを離れ、背の高いほうの男が部屋に入ってきたので、彼のほうにか弱く顔を向けて見つめました。警察の制服を着ている二人の男は、小さいほうの男のあとへ続き家を出て行きました。家を出るときに頭からマスクを引き剥がしていましたが、顔は見ませんでした。
背の高いほうの男はわたしを見下ろし、わたしはほとんど意識を失いながら、弱々しく男を見上げていました。
 男は事務的に話しかけてきました。
「我々は深夜になったら戻る」
さるぐつわと薬に抗い、かすかにしゃべろうとしましたが、ただ眠くなりました。
「お前の身に何が起こるか知りたいか?」
男が訊ねるのでうなずきました。
「好奇心はカジュラにふさわしくない」
何を言っているのかわかりませんでした。
「それを理由にぶたれることもある」
理解できません。
「簡単に言えば、我々は深夜に戻ってくるということだ」
マスクの口の穴から、男が唇をゆがめ笑っているのがわかりました。目も、笑っているようでした。
「その時にまた薬を打つ」
男の前でベッドの上に縛られ繋がれたわたしを見下ろし、
「そしてお前は船の積荷になる」
そう言って部屋を出て行きました。
わたしを縛り付ける紐を引っ張りましたが、意識を失ってしまいました。

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